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第2話 知られざるフグの生態について 

2014.5.18 カテゴリー:とらふぐのあれこれ, ふぐの種類と生態

フグは、①お腹を膨らませる、②瞬きをする、③噛み合う、④鳴く、⑤砂に埋まる⑥毒を持つといった特異的な習性を持っています。その習性を解説します。

①フグはお腹を膨らませる
お腹を膨らませる習性は、威嚇や自己防衛の際に胃の一部に水や空気を入れて膨張して
います。内臓を包む肋骨が無い為、お腹を膨らますことが出来ると考えられています。1
kgのとらふぐが体重以上も水を飲み込むことが出来るというから驚きです。私は陸上と
らふぐ養殖をしている中で、毎日水槽の中でお腹を膨らませている姿を見ます。威嚇や自
己防衛以外に、リラックスしている時お腹を膨らませているのではないかと考えます。

②フグは瞬きをする
魚には、一般的には瞼が無く、眼は開いたままで、閉じることができません。しかし、
フグは魚の中で唯一瞬きが出来ます。私も養殖をする中で何度も確認しており、特に苦しい時(海水がない場合)、によく見ることが出来ます。浅瀬をダイビングしている時も、クサフグが砂に潜り、眼だけを出していることもあります。

③フグは噛み合う
フグ科のフグの歯は、くちばし状になっており、上下2本、計4本の歯を持っています。
フグは鋭い歯で何でも噛み砕く雑食性です。この噛み合う習性は、天然とらふぐも養殖と
らふぐも変わりありません。フグ延縄漁では、ペンチが用意されており、フグが釣れる
とペンチで歯を折って活魚水槽に入れます。したがって、とらふぐの養殖の際は、歯切り
の作業が必須となります。噛み合いによって尾ひれや腹ひれが出血し、斃死することも多々
あります。出荷までに最低1年半かかるため、約5回歯切りが必要になります。

④フグは鳴く
フグは、空気や海水を胃に飲み込んでお腹を膨らませますが、その膨らます過程でグーグーと鳴きます。飲み込みながら、口を閉じる時に歯が擦れ合って音が出ると言われています。瞬きをする時と同様に、特に苦しい(出荷や歯切り)時に、お腹を膨らませながらグーグーと鳴く姿を見ます。

⑤フグは砂に埋まる
フグは奇麗お腹の部分を砂に埋めて生活する習性があります。陸上養殖の場合、水流が常にあるため、泳いでいるとらふぐが多いが、白子が熟成する1月~2月には、水槽の底にお腹を付けて休憩している姿をよく見ます。先日、下関市立しものせき水族館 「海響館」にとらふぐの生態について視察に行ってきました。とらふぐは、砂に埋まっていて、眼だけをギョロギョロさせていて、これが自然界のとらふぐの生態であることを知りました。

⑥フグは毒を持つ
フグは一般的に毒を持つ魚として知られています。その名は、テトロドトキシンと呼ばれています。フグは、食物連鎖によって食べることにより、毒を蓄積しているメカニズムは、近年解明されてきました。とらふぐは、〝ふぐの王様〟として知られていますが、皮や、身、白子には毒はありません。しかし、〝ふぐの女王〟として知られるマフグは、皮に毒性が強く、総毒量は最大です。また、身にも猛毒を持つドクサバフグやコモンダマシといったフグもいます。

第2話は、ここまで。第3話をお楽しみに。

天草海産 3代目 〝福の宅配人〟太田雄三